私の忘れられない“良い書”

紙に書いた想いは、その人の声になって届く。

野口シカ 息子への手紙

野口シカ 息子(野口英世)への手紙の一部 1912年
海外で研究中の息子に会いたい一心から、普段書くことがなく忘れていた文字を思い出しながら書いた手紙です。

高校の修学旅行で会津へ。
野口英世記念館で見たこの手紙に涙がとまりませんでした。


《 全文 》

お前の出世には、皆たまげました。
わたくしも喜んでをりまする。
中田の観音様に、毎年(まいねん)、夜籠(よこも)りをいたしました。
勉強なんぼでも切りがない。
烏帽子(近所の地名。ここは、烏帽子という村からのお金の催促のこと)には困りをりますが、お前が来たならば、申し訳ができましょう。
春になると、みな北海道に行つてしまひます。
わたしも、心細くありまする。どうか早く来てくだされ。
金を貰うたこと、誰にも聞かせません。それを聞かせると、みな飲まれてしまひます。早く来てくだされ。
早く来てくだされ。
早く来てくだされ。
早く来てくだされ。
一生の頼みでありまする。
西さ向いては拝み、東さ向いては拝みしてをります。
北さ向いては拝みをります。
南さ向いては拝んでをりまする。
一日(ついたち)には、塩断ちをしてをります。
栄昌様(隣家の鵜浦栄昌。天台宗の修験者)に一日(ついたち)には拝んでもろてをりまする。
なにを忘れても、これ忘れません。
写真を見ると、戴いてをりまする。
早く来てくだされ。いつ来ると教へてくだされ。
これの返事待ちてをりまする。
寝ても眠られません。

さらに詳しく調べたい方は、以下をご参照ください。


  • 伝えたいふるさとの100話
  • 母から息子への思い〜野口シカの手紙